見ている数値の意味を考える。

 

僕は生産技術を本職としている。

生産技術にとって歩留は重要な数値。会社によってはそれのみを考える会社もあるくらい。歩留は各工程が及ぼす影響や月毎の変化を確認するためには優れたツール。だけど、歩留がそのままコストだと勘違いするとやっかいなことになる。

 

たとえば、半導体業界で説明する。一昔前の話なので、今は違うかもしれないのでご容赦ください。っていうか今から例に挙げるのは又聞きですので間違っているかもしれないのでご容赦ください。

半導体はシリコンウェーハの上に回路を打ち込んでいく。シリコンウェーハとは丸い円盤状の薄いやつ。コースターを大きくした奴だとイメージしていただくと間違いない。

シリコンウェーハ一枚当たり出来るICチップが多ければ、無駄な使用面積が減ってコストが下がる。まぁそれだけで原価が決まるわけじゃないけど、重要な要素には違いがない。いちいち原価に直すのは大変だから、現場は間接的な指標を使って、原価低減のための管理を行う。その管理する数値に結構お国柄が出たりする。

アメリカのとある会社はウェーハ一枚当たりにできる個数で、

韓国のとある会社はICチップ一個当たりができる原価で、

日本のとある会社は歩留で

管理をしていた。

韓国はめんどくさい原価で管理を行っている(というかできているのがすごい)が日本とアメリカは間接的な指標を使って管理している。両方とも、本質的には一緒じゃんと思うかもしれない。でも違う。シリコンウェーハは外周の数mmを製品として保証していない。そうすると日本のとある会社は歩留定義を 製品が出来上がった個数 / 保証されている部分で製品ができあがるべき個数 としてしまう。だけど、保証されていようがなかろうが個数は増やしたほうがコストは安い。だからアメリカと韓国の会社は保証されてない箇所にも半導体を作ろうとする。

 

日本の場合、現場から見れば、歩留の維持が至上命題で外周部にも製品を作ろうなんていう”不利益”になるようなことはしない。だから、マネージメント側から管理方法の変更を進めなければならない。でもマネージメントの方々はおそらく頭を使って物事を考えないことに慣れているので、下に原価を安くしなさいと文句を言うだけで、自分からめんどくさいことはしない。

ルネサスが陥った事例で、似たようなことが日本型モノづくりの敗北という湯之上さんが書いた本にも書いてある。

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こういったことは形を変えていろいろなところで起こっていると思う。どの数値を使うのかなんて会社の文化だしね。文化とは合理性を欠くものだと誰かが言ってた気がする。

 

もう一度会社が普段扱っている数値がどのような定義なのか、その数値は本当に本質を得ているのかを考えてみるといいと思う。新たな改善提案につながると思う。

 

では今日はこの辺で。